【要約#36】別冊NHK100分de名著 読書の学校 若松英輔 特別授業『自分の感受性くらい』

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たまには趣向を変えまして。詩でも読もうかと。

慌ただしく過ぎゆく日常にさらされて、乾いてしまった心に潤いを与えねば。

そんな状態の私にぴったりのタイトル「自分の感受性くらい」が目に留まったので手に取った次第でございます。

「自分の感受性くらい」は茨木のり子さんという有名な詩人の作品ですが、今回の本はその詩を題材に、随筆家の若松英輔さんが中学生に向けて行った授業を書籍化したものです。

有難い。詩なるものに普段触れていない自分になんともぴったりな「ザ、詩入門」な本ではないか。

「みなさんには詩を読むだけでなく、ぜひ、書いてみてほしいのです。(中略)何を書いたかではなく、書いてみてどう感じたかを忘れないようにしてほしいのです。それが文学の経験です」

「どう感じたかを忘れないようにしてほしい」…

「どう感じたか」…

愕然としました。近頃、自分は「どう感じたか」という感覚を忘れかかっていたのではないか。

慌ただしく、乱暴なまでのスピードで過ぎ去る毎日。効率、能率を高めることに躍起になり、早く終わらせることが美徳とされる昨今。テクノロジーとスキルの向上により、どんどん早く仕事が終わるようになっているのに、どういう訳か更に増していく忙しさ。

早く終わらせることが大切なら、生きている意味は何なんだ?という気になります。

「遠藤周作は、生活と人生というものは、もしかしたら違う種類のものかもしれないと考えた。生活は過ぎゆくことかもしれない。でも人生は違う。人生は過ぎゆかない。」

「ひとは今を生きるしかない存在であることを直視することです」

ここでもまた、ニーチェやアインシュタインの「過去、未来には意味がない」という考えに通じる表現が出てきました。

感受性は今のところ、コンピュータにはなくて、人間にのみ許された感謝すべき不思議な能力だと思います。

「優しい」とか「美味しい」とか「涼しい」とか「懐かしい」といった感覚は、コンピュータには記録できないですもんね。(脳科学で「クオリア」というようです)

今、ここにしかない、生きている人間のみの特権です。

感受性を大切に守っていきたいものです。

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