【要約#35】「なぜ部下とうまくいかないのか」

人材マネジメント

「人は成人してからも死ぬまで一生成長することができる」という「成人の成長」にスポットライトを当てた本でございました。

一般的には、成人してから人間の成長は止まってしまうという考えもありますので、これは勇気の出る話です。

心理学の修士号を取得し、ハーバード大学にて成人教育の権威ロバート・キーガンによるプログラムを修了後、成人発達理論の大家オットー・ラスキー博士に師事した著者により、学術的裏付けをもとに対話ストーリー形式で非常にわかりやすく書かれています。

この本の中における成長とは「視野の拡大」を指しています。

「なぜ部下とうまくいかないのか」この答えは、上司と部下では成長段階が異なり視野の広さが違うから、相互理解にギャップが生じることが原因であると私は理解しました。

発達理論の枠組みでは、成人以降の成長段階には以下の4段階があるとのことです。

1.「利己的段階」自己中心的で、他人は利用するものという認識で行動する段階

2.「他者依存段階」明確な意思決定基準を自分の中に持っておらず、他人の意思決定基準に沿って行動する段階

3.「自己主導段階」自分なりの価値基準や意思決定基準を持ち、自律的に行動できる段階

4.「自己変容段階」他者の存在は自分の成長に不可欠であり、他者との協同は異なる認識の枠組みを理解する素晴らしい機会だと認識して行動できる段階

1→2→3→4と段階が上がっていくにつれて成長段階が上がり、視野が広くなっていきます。

ポイントは以下の通りです。

①一つ段階が上がるには5年〜10年はかかるといわれている。

②下の段階の人からは上の段階の人に見えている世界を理解することができない。

③無理に成長させようとすると、却って成長しなくなってしまう(ピアジェ効果)

④単純に成長段階が上がればいいという訳ではない。(「上の段階が偉い」と考えると、下の段階を見下すことになる。さらに、上に行くほど難易度が上がり、自分に求めることが高くなる)

どうでしょう?上司と部下がうまくいかない一因が、この成長段階の違いだとすれば、、、溝は深そうです。

なぜなら①一つ段階が上がるには5年〜10年はかかって②下の段階の人からは上の段階の人が見えているものを理解することができなくて③無理に成長させようとすると、却って成長しなくなってしまう(ピアジェ効果)訳ですから笑

逆に、部下の立場からすると、上司を理解するのは相当過酷な戦いということですね。

私は上司とぶつかることが良くあるのですが、上記考え方を知ることで、上司との理解のすれ違いは無駄に悩むものではないなと、気付きを得られたことは良かったです。

簡単に理解できると思っているから、理解できない時にストレスになるので。

組織を束ねるリーダーになるには「他者との協同は異なる認識の枠組みを理解する素晴らしい機会だと認識して行動できる段階」である第4の「自己変容段階」まで研鑽を積まなければなりません。

道のりは遠いですが、無理なく行きたいものです。

ではまた!

タイトルとURLをコピーしました