前回の山口周さんの「独学の技法」や、前田裕二さんの「メモの魔力」から僕が読み取ったエッセンスは、とにかく「抽象化」が大事だ!ということでした(ざっくり)
すなわち、個々の具体的な事実から、いかに応用可能な一般原則を抽出できるか、ということが他者と圧倒的な差別化を図る知的活動の源泉だ、ということです。
そこで、前田裕二さんが「メモの魔力」の中でご紹介されていた今回の本、「具体と抽象」を読みました!
内容は、まさに名著。何が名著かと言いますとまず、短い!(大切)135ページしかないのですぐ読めます。
そして、各章に4コマ漫画があることからもひしひしと伝わってくるように、その難しそうなタイトルとは裏腹に、非常にわかりやすく、明快に書かれています。
そんな名著から私が読み取ったエッセンスは主に以下の3点でございました。
1.すなわち抽象化とは
2.抽象化の構造
3.抽象化のポイント
1.すなわち抽象化とは
抽象化とは①「枝葉を切り捨てて幹を見ること」「特徴を抽出すること」「デフォルメ」であり、②目的によってその幹と枝葉が変わる。
例えば、ひとりひとり違う人間を、②映画館の料金という目的で①特徴を抽出すると、「社会人」「学生」「子供」という抽象化ができるし、②トイレの利用者という目的で①特徴を抽出すると、「女性」「男性」という抽象化ができる。
レベルが高い抽象化ができれば、例えば「熱」「高さ」「運動」から「エネルギー」という特徴を抽出し、「電気エネルギー」を作り出すというような、高度な知的生産性を発揮できる。 抽象化は人類に認められた、人を人たらしめる知的活動である。
2.抽象化の構造
①具体と抽象は相対的である
動物を抽象とすれば、魚や犬は具体だが、魚を抽象とすれば、アジやマグロは具体
②具体と抽象は階層になっており、「上」の特徴は「下」に適用できる。
例えば、「動物」の特徴は、その下の階層の「魚」や「犬」にも当てはまる。→目の前の個別具体的な事実から、一つ上の階層の抽象化ができれば、他の具体的な事実にも応用可能な法則を(もしかすると自分だけが)掴み取ることができる!
掃除機のルンバは地雷除去装置の技術から生まれたという話を聞いたことがありますが、おそらく開発者は地雷除去装置のセンサー技術(具体)→物を自動で避けることができる(抽象)→掃除機が壁にぶつからないようにする(具体)とい抽象化から具体への転用を行なっているのでしょう。
発明は、抽象化から生まれる。
3.抽象化のポイント
①「共通点はないか」と考えてみること。
②多種多様な経験を積むこと。本、映画、芸術で擬似体験でも良い。
以上、1. 抽象化とは「枝葉を切り捨てて幹を見ること」であり、
2.具体と抽象は相対的、かつ階層構造を持ち、世界を変える程の決定的な力をもち、
3.経験を積みながら共通点がないかを常に意識することが重要である。
…でした!
素晴らしい名著でございました。知的生産性を高めたい方は必読の書です。是非ご一読を。
以上